いい肉を食べたの話
普段は豚肉のわたしであるが、牛を食べた。しかも外で、である。
店名を出しても問題なかろう。
新宿ブルズというところであった。
麻布に本店があるとのことだが、新宿の方がカジュアルに食べられるらしい。らしい、というのは本店に行ったことがないため、比較のしようがないからである。当然である。
何がお勧めなのかよくわからないため、とりあえず盛合せを頼んだ。あとはようわからんいろんな肉を頼んだ。そしてよく食べ、よく飲んだ。
久方ぶりの牛肉はおいしかった。勝手に焼いて勝手に食べる型のスタンダード焼肉なので、好き勝手に焼いて食べた。
ウチモモ、シシ、ヒレは食べやすく、ザブトン、ミスジあたりでお腹がいっぱいになり、バラだののあたりで完全に満足(パーフェクトまんぞく)した。
土用丑の日とやらも近く、うのつくもので牛を食べる。ちょうどいいものであった。
肉も食べるだけ食べたが、酒もよく飲んだ。同行者と計で20杯かその程度は飲んだ。よく飲んだ。相手方は商社の営業、かく言うわたしも元商社営業、つまるところ我々は飲むことが半分仕事に入っていた者同士であった。お互い酒を勧めることはしない、それぞれの肝機能を慮ってのことであるが、話が進めば酒も進む。箸が進めばやはり酒も進むものである。
こんなことなら飲み放題にでもすればよかったか、と言い合ったものの後の祭りというやつだ。「次は馬刺しにしようか」「そういえば鹿もおいしかったか」「飲むなら安居酒屋で引っ掛けてからな」云々話もした。
しかしながら、そういう関係も悪くないということを再認識できた時間であった。
いいものをたまに食べるということはいいものである。
いいものをいいひとと食べるということは更にいいものである。
これは卒業旅行でも感じたことであるが、旅行はどこに行くかではなく、誰と行くかということであり、食べるものに関しても同様のことが言えるということだ。
無職としてはなんとも背伸びをしてしまったが、とかくいい時間を共有できた。同行者がどう思っていたかはさておき、いい肉、いい酒、いい時間といい友人である。文句のつけようのないひとときは至福であった。
そんなところで、牛は外で食べた方がおいしい説を提唱する。
ぐるぐるユッケジャン。
あぐれ