美容室
髪の毛自体は年に1回切れば良い方である。美意識が著しく低い。
正直言うと、髪の毛と肌は年齢の割にきれいだと思う。だから余計に胡座をかいてしまう。
髪の毛を切らない理由が何かあった方がいいと思い、ヘアドネーションをするためというもっともらしいことを言うようになった。無論、伸びたら寄付もするつもりである。
ヘアドネーションは簡単に言うと、病気でウィッグの必要な小児向けの人毛の寄付である。最低15cm以上、31cm以上が理想で、わたしはできれば31cm以上の寄付をしたい。長ければ長いほどいいらしい。
そんなことをすっかり忘れて2月に10cmほどセルフカットしてしまった。3月、暖かくなり、カットモデルに久しぶりに行った。更に5cm短くなってからヘアドネーションのことを思い出した。馬鹿である。
ちなみに去年も15cmほどサロンで切ってもらったあとにヘアドネーションのことを思い出している。
少しくらいはいいことをしたい。しかし、馬鹿だからすぐに忘れてしまう。
目標は年内はもう毛先を整えるだけにして、来年の秋頃にでも長さたっぷり寄付をすることである。
いつまで覚えていられるか、まったくもって自信がない。既に不安であるが、まあ向こう半月くらいは覚えていると思うので、わたしにはがんばってほしいところだ。
さて、昨日もまた美容室に行ってきた。
ブローモデルというやつである。ブローの練習をする代わりに最後にトリートメントをして仕上げてくれる。
乞食にやさしく大抵無料である。
昨日も渋谷の美容室だった。
わたしの担当になったアシスタントのおねえさんは専門を出たばかりだろうか、20歳かそこらで話し方も初々しく好感の持てる方だった。
久しぶりに「あぐれさん」と下の名前でさん付けで呼ばれた。かなりドキッとした。もしわたしが男子大学生だったら一瞬で恋に落ちていたと思う。
アラサーのババアなので、そんなことを考えていた。やはり馬鹿である。
ブローの練習中にはスタイリストのおにいさんもチェックでつくことが多い。
「ここのスライスは云々」
「テンションを均一に云々」
「サイドとバックの巻きが云々」
「オーバードライになってしまう可能性云々」
毎度のことではあるが、美容師さんたちはわたしが普段髪の毛を乾かすときに気にもしないようなことを細かく気にしてブローしてくれている。美容師だから、技術が売りだから当然という主張もあるだろうが、ありがたいことだと思う。
モデルで行っているものの、サロンや担当のアシスタントさんにとっては将来のお客にな?可能性があるため、基本的に丁寧に接してもらえるし、技術向上のためだったり、サロン内のテストのためだったりとタイムを計りながら彼等も本気で施術をしてくれる。ありがたいことだ。
結局、ブローの練習を2回したあとで内部補修と保湿のトリートメントをしてくれた。あとは帰って髪の毛を上げてシャワーを浴びればかんぺきパーフェクトというやつである。楽ちんなので夜のブローモデルはよい。
帰り際、見送ってもらうあたりで
「あの、今月また来てもらえますか?あぐれさんの髪がよくて…」
ともじもじしながら言われてしまった。
そんなの行くしかなかろうが。
気持ちは完全にキャバクラ嬢にハマったおじさんである。
こうやって若くて可愛い女の子たちは、若くて可愛いという正統派の武器を手に世の中の酸いも甘いも自分のものにしていくんだろう。
そういうわけで最近は暇なので美容室によく行っています。
金銭的な余裕はないため、無料のモデルです。
東京にはびっくりするくらいの美容室があるなあ~
夢追いの美容師さんたち、みんながんばってほしい。
わたしがモデルでお邪魔したときは大人しくしているので、スタイリストさんの助言をよく聞いて早く一人前の美容師さんになってほしい。
外野の気持ちでした。
ぐれない美容師さんだけが本物の美容院さん。
あぐれ