おかかえのあたま

ぐれたりぐれなかったり

復活の魔法の話

RPGのゲームはポケモンくらいしかやったことがない。嘘をついた、兄弟とドラクエも FFもやったことがある。

 

ゲーム内では大抵戦闘メンバーが死んで(瀕死になって)も、復活させることができる。ポケモンだったら元気のかけらだし、ドラクエだとなんだろう、ザオリクあたりがそうなのかな、FFだとよくわからない。教会に行って蘇生してもらうのか?

少しリアルな視点で考える。死んだり瀕死になっても使えばまた戦えるというのは、つまりトランス状態にしているのだと思う。要するにヤバい薬を飲ませるなり、洗脳できる音楽を聞かせるなりして、アドレナリンやドーパミンをどばどはにして、一時的に痛みや恐怖を感じにくくし、再び奴隷として酷使するのである。気が確かでなければ、瀕死にされた相手にだってまた立ち向かえるのである。通常の思考であれば戦略的撤退で作戦を練り直し、十分な武力をもって目標を殲滅すべきである。戦力の逐次投入は禁忌であり、使えなくなった戦闘員を全快しないまま再投入するなど言語道断、どこぞの敗戦国の二の舞である。

 

 

 

この図は現代日本だと、エナジードリンクや栄養ドリンクを飲んで、足りない気力体力を補おうとする社畜によく似ている。もちろん、この手のドリンクの類はカフェインや微量のアルコール、その他即効性があるのかないのかわからない栄養のおかげで瞬間的に脳が興奮状態になるが、まともな休息を取った場合と比較すれば結果は言わずもがなである。かなしきかな、まともな休息を取れない状況が多く、「復活の魔法」を多用する社会人が後を絶たない。気力の前借りは、いずれどこかで清算させられるのである。

 

 

わたしにとっての復活の魔法はもちろん処方薬で、残念なことにここのところは毎日お世話になっている。血中濃度半減期がだいたい6時間と12時間の薬をそれぞれ状況に応じて使い分けている。両方ともベンゾジアゼピン系で詳しい作用機序は忘れたが要するに脳みその中でGABAの役割を強化してくれるため、抗不安だの鎮静、催眠、筋弛緩だのの効果が期待できるとのことである。実際に飲めば不安感からも焦燥感からも喉の詰まりや息苦しさからも解放される。

個人的には薬にあまり頼らず過ごしたい。しかしながら、唐突な焦燥感や不安感は気合いでどうこうなるものでもなく、致し方なし服用する。服用して効果が切れればまた同じことの繰り返しとなる。もちろん、飲まずにやり過ごせる日もある。頓服を使う日、使わない日で何が違うのか、睡眠や食事、その日の行動などを一時期記録していたが、ほぼ意味がないのでやめた。飲まなきゃ難しい日は何をどう足掻いても飲まなきゃ難しいし、飲まずに済む日はどんな雑な過ごし方をしていようが飲まずに済むのである。

 

ともあれ、わたしは復活の魔法の前借り分をいつ返すことになるのかはよくわからないが、なによりいちばん大切なことは死んだり瀕死にならないことである。そういう戦い方、過ごし方をしない。社会人であれば、フィジカル・メンタル共に無理になる前に充分な休息を取り、傷の浅いうちにさっさと回復させるのが良い。

 

 

 

にしても、わたしといえばどれだけ薬を飲んで健常を装っていても、仕事をしていない以上、スライムからゴールドをもらうことすらできないのである。これは非常に由々しき事態だが、復活の魔法がこみっちり効いて、また働く気力がしっかり養えたところで再戦に臨みたい。

復活の魔法は使える人がいなかったら使えないのである。わたしは別の人に代わりに唱えてもらうことができない手前、瀕死の手前くらいで使っておかないとなかなか厳しい状況になる。復活の魔法(薬)はもちろんMP(money point)を消費する。なんだってタダでどうこうなるわけではないのだ。むやみやたらに使えないのはゲームの世界も現実もあまり変わらない。

 

個人的な願望だけ述べれば一生ポケモンセンターの中で治療を受け続けたい。

 

  

 

 

酒に逃げなかった結果がこれだと、どちらが正解だったのか全くわからないね。

  

 

 

「いいかい、スライム。勇者に倒されたらこのゴールドを落として逃げるんだよ」

あぐれ