チュッパチャップスの話
棒付き飴のことである。
チュッパチャップスをときどき食べる。
食べる。とはいうものの、開ける前に悪戦苦闘する。ほぼ毎回のように劣勢を強いられる。どうにかサクッと開ける方法はないのだろうか。
包み紙をこねくり回しながら気付いた。
「クラシエフーズ」と書いてある。
無論、ねるねるねるねを作っている企業である。
声を大にして言いたい。1番の粉を水で練って2番の粉を入れて練って色が変わったら3番の粉を空いているトレーに入れてつけて食べるとおいしいよ、ではない。こちらはそれ以前の問題なのである。ぐるぐるになっているところが固くて開かない。先に飴側の紙が破れてくれればそれはそれでいい。破れた穴はわたしにとってのチュッパチャップス攻略の突破口なのである。
しかし、破れない。
先方もなかなかの戦歴の持ち主のようだ。
わたしもヒト代表として尋常に勝負せねばなるまい。
ハサミやドライバーなど武器の使用は言語道断。
ひたすらに飴のねじねじのところを逆にねじねじするのである。
できなくてもするのである。
弱音は許されない。
「おいコラてめえ、この数字どうなってんだ」
「今日中に上げてきます」
「毎日毎日同じこと言ってんじゃねえ、どうすんだ」
「すみません、必ず今日中に上げます」
「できなかったらわかってんだろうなあ」
そんなやり取りを脳内で楽しみつつ、ねじねじをねじねじする。
なんなんだこいつは。わたしにやる気がないのか、こいつにやる気がないのか、こいつのやる気がありすぎるのか、ねじねじを大胆に攻めても、端からちまちま攻めてもうんともすんとも言わない。「うん!」くらいの返事はほしいところである。おねえさんかなしいわ。
記事を書く手を止めておよそ5分。
勝った。
チュッパチャップス ストロベリークリーム味は我がものとなった。
ようやく冷静さを取り戻したところでチュッパチャップスのことを調べていたら、クラシエフーズがHP上で
「包み紙イライラ問題」
を取り上げていた。
エイプリルフールのネタだった。
ふざけるな・・・。と言いたいところだが、まあ今は戦後なのでよしとする。
これがもしストロベリークリーム味との戦争前であったら、我が家の電気ケトルが爆発するがごとく、わたしの怒りも天元突破していたことだろう。
勝利の美飴を頬張りながらタイプするのも悪くないものである。
戦争といえば、
わたしは
きのこ派だし、
エンゼルパイ派である。
レモネードでも飲んで落ち着こうじゃないか。
やぶれかぶれ。
あぐれ